バラの分類

バラは大きく分類するならばモダンローズ、オールドローズ、ワイルドローズの三つに分類されます。

1.モダンローズ

1805年頃、ナポレオン皇帝妃 ジョセフィーヌの専属の園芸家 アンドレ・デュポンにより世界で始めてバラの人工交配に成功しました。それまで昆虫による自然交配しかなかった時代、バラの歴史にとって画期的な出来事でした。また当時のヨーロッパでは、一年に一度しか咲かないバラに「四季咲き」の革命をもたらした中国原産のコウシンバラもこの頃に持ち込まれました。それから約半世紀後の1867年、フランスのギヨーによって『ラ・フランス』作出され現代バラの原型となったのです。

A.ハイブリッドティー系(大輪咲き)(H.T)1867年~ フランス

四季咲きの大輪の花をつけるバラ。色も香りも豊富で、現代バラの代表的存在。露地では5月から11月頃まで花を咲かせます。花は10㎝以上のものが咲き一重咲きのものは少ない。樹高は1~1.5mになる。花壇、鉢植え、切り花にと用途も広い。

B.フロリバンダ゙系(中輪房咲き)(FL.) 1942年~ アメリカ

四季咲きの中輪の花をつけるバラ。枝分かれした茎にたくさんの花をつけるので花壇の演出には最適。
樹高は、1メートル程度にしかならない。花は5~8㎝のものが咲き形も多種多様。色も驚くほど多く、「マスケラード」のように蕾が黄色で徐々にピンクになりやがてレッドにかわる変化色はフロリバンダ系の特徴。

C.グランディフローラ

ハイブリット・ティー系とフロリバンダ系の中間型。

D.イングリシュ・ローズ 1961年~ イギリス

イギリスのディビット・オースチンが、オールドローズの優美でクラシカルな花形と気高い香りを併せ持ちつつ四季咲き性を兼ね備えたバラを半世紀以上の交配を繰り返してつくった。
樹高が2~5mになるつる系と、150㎝以下のシュラブ系がある。

E.クライミング・ローズ(つるバラ)

茎を自由に這わせてフェンス・ポール・アーチ・トレリス・パーゴラと庭や花壇を華麗に演出することができる。一般に丈夫でよく伸びるのが四季咲きのものが少ない。次の3種類に分けられます。

●ランブラー(R):小輪の花で一季咲き。
●ラージ・フラワード・クライマー(LCI):大中輪の花が咲く。ほとんど一季咲きだが新しい品種には四季咲きも。
●枝変り性つるバラ(Cl):ハイブリッド・ティー、フロリバンダ、ミニチュアなどから枝変りでできたバラで、四季咲きも多い。

F.ミニチュア・ローズ

その名のとおり、小輪で樹高も最大でも50㎝程度なので鉢植えはもちろん、ベランダや狭い場所でも楽しむことができる。次の4種類に分けられます。

●ブッシュ性ミニバラ:現代ミニバラの総称
●ポリアンサ系:小輪房咲き系。ノイバラ(日本のバラの原種)を祖先とする古い種。1875年~
●ランブラー系:小輪つるバラ系。原種テリハノイバラの子孫。1901年~
●パティオ系:ブッシュ性ミニバラにフロリバンダを交配した大きめの花の咲く系統。

G.モダンシュラブ・ローズ

半つるバラと呼ばれる系統のバラ。前述のイングリッシュローズも正式にはこの系統に属します。「シュラブ」とは幹が伸びるのにしたがって枝が湾曲して弓状になることをいい、それに対して幹が直立していることを「ブッシュ」といいます。また、上に伸びずに地上を低く這うものを「グランドカバー」ともいいます。
多花性で病気にも強く手間がかからず大株になるものが多いので、広い庭や公園などに向いています。

2.オールドローズ

オールドローズは1867年に最初の現代バラ(モダンローズ)「ラ・フランス」が出る以前のものを言います。
上の表のようにさまざまな品種がありますが、ほとんどが一季咲きで優雅な花形と香りを秘めているのが特徴。
代表的なものは次のとおり。

●アルバ系(Alba):花色は白から淡いピンク。甘い香り。生命力が強く日当たりが悪くてもOK。
●ブルボン系(Bourbon):全体的に大輪で多花性、芳香は甘く、四季咲きが多い。
●チャイナ系(China):四季咲き性の生みの親、香りも強く、樹形も小型のものが多い。
●ダマスク系(Damask):花色はピンク系。香料の原料として作られたほど濃厚な甘い香り。一季咲き。
●ガリカ系(Gallica):赤紫系の色はガリカ系のみ。トゲは少なく枝にも強い香りがある。
●モス系(Moss):ガクと子房に苔のような密毛が多数あり、これが粘着性の芳香性オイルを生み出す。
●ポートランド系(Portland):直立系で四季咲き。香りはダマスク系に似ている。
●ケンティフォーリア系(Centiforia):キャベツバラとも呼ばれる多弁花。花色はピンク主体。甘い香。
●ハイブリット・パーペチュアル系(H.P):ハイブリッド・ティ系の親。多くは半つる性だが性質は多種多様。
●ティ系(Tea):木立性四季咲き種の元祖。トゲが少なく花色が多種。茶の葉をもんだ時の香りを持つ。
●ノアゼット系:小輪咲きで白やピンクが大半。香りはさわやかなムスク系。

3.ワイルド・ローズ(原種バラ)

バラの原種は200種類あるが、現代バラの祖先種をたどって行きますと、ノイバラ、ハマナス、庚申(こうしん)バラなど7、8種の野生バラにたどり着きます。
その中に日本原産のバラが2種類入っている(ノイバラ・テリハノイバラ)のには驚き。
また、四季咲きの元になったのが中国原産のコウシンバラであることを考えるとバラは東アジアの花とも言えるのではないでしょうか?